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  • 公開日:2025年10月20日
  • 更新日:2025年10月21日

オレフィンシートとプリント合板(強化紙系)の違いを比較

オレフィンシートとプリント合板(強化紙系)の違いを比較

 実際の実験で“お手入れのしやすさ”と“耐久性”を検証しました。

ドアの素材選びで迷っている方に、見た目では分からない「本当の強さ」をお伝えします。

ドアのお手入れ、本当にできる?

毎日触れるドア。水拭きやアルコール除菌を続けていたら、
「白く変色してしまった…」「表面シートが剥げてきた…」そんな経験はありませんか?

見た目が似ていても、実はドアの「表面素材」によってお手入れのしやすさや耐久性は大きく異なります。
本記事では、シート貼りの住宅ドアで使われる代表的な2つの素材——
「オレフィンシート」「プリント合板(強化紙系)」を比較。
それぞれの特徴と違いを、実際の試験結果をもとにわかりやすく解説します。

ドア選びに迷っている方や、リフォーム・DIYで交換を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

執筆者のイラスト

和室リフォーム本舗の太田です。建具業界に15年以上携わり、現在はWEBやブログを担当しています。紙好きで襖紙の知識には自信あり。 当社は創業昭和21年(1946年)。自社工場からメーカー直販で、全国へ建具をお届けしています。

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目次

(このページでは以下の内容を解説しています)

比較する2つのドア素材とは?

実際の比較実験では、オレフィンシートの耐久性が際立ちました。油性マジック・クレパス・水・重曹スプレー・住居用洗剤・アルコール除菌スプレーのいずれを使用しても変化がなく、拭き取り後もツヤ・質感・色味が安定していました。
この差は、素材を構成する成分の違いによるものと考えられます。

オレフィンシートの特徴

オレフィンシートの構造を示す図。

樹脂を主成分としたシートで、耐水性・耐薬品性・耐摩耗性に優れています。
住宅建材やドアの表面材として多く使用され、木目の再現性も高く、メンテナンス性に優れているのが特徴です。

プリント合板(強化紙系)の特徴

プリント合板(強化紙系)の構造を示す図

紙に木目を印刷し、樹脂でコーティングした素材です。
コストが安い反面、水分やアルコール除菌スプレーに弱く、長期使用によって白化・膨れ・剥離が起こりやすい傾向があります。

出典元:オレフィンシートの詳細―DNP内装用化粧シートサフマーレWS外部サイトへ遷移します

実験の目的と背景

日常生活で起こる「汚れ」「清掃」「いたずら」「水濡れ」などの要因が、
ドア表面の素材にどのような影響を与えるのかを実際に見えるかたちで比較することが目的です。

実験を動画で見る

今回に実験は、和室リフォーム本舗のユーチューブチャンネルでもご覧いただけます。

実験条件と手順

使用したもの

  • 同サイズのサンプル(オレフィンシート/プリント合板)を使用
  • 各素材を6つの区画に分け、6種類の試験を実施
  • 試験後は2時間放置し、ビフォー/アフターを撮影・比較
オレフィンシートとプリント合板の耐久性比較実験に使用した試験用品。
耐久性比較実験に使用した道具一式。
油性マジックやクレヨン、重曹スプレー、アルコール除菌剤など、実際の生活汚れや掃除を想定したアイテムを使用しました。
項目内容
油性マジック強い汚れ・落書きの再現
クレパス子どもの落書きを想定
湿気や水分の影響を再現(脱衣所などを想定)
重曹スプレー弱アルカリ環境を想定(キッチン・リビング)
住居用洗剤(中性・マイペット等)清掃時を想定
アルコール除菌スプレー日常的な除菌行為を想定
耐久性比較実験で使用した試験項目と想定条件

試験の流れ

スプレー類は適量を吹きかけ、2時間放置後に柔らかい布(今回はティッシュ)で拭き取り。

油性マジック・クレパスは2時間放置後、エタノールを染み込ませた柔らかい布で拭き取りました。 現実的な使用環境に近い条件で評価しています。

観察項目

  • 艶引き・白化・膨潤・剥離の有無
  • 手触り・質感の変化
  • 汚れの落ちやすさ
  • 写真比較による見た目の変化

実験で使用した住居用洗剤は、市販の中性洗剤(花王マイペット)です。 成分の詳細は:花王株式会社公式サイト(製品情報ページ)をご参照ください。(外部ページへ遷移します。)(※)

実験に使用した重曹スプレーは、市販の弱アルカリ性タイプを使用しました(例:ミヨシ石鹸「暮らしの重曹せっけん お掃除泡スプレー」[JAN:4537130101704])です。 成分や用途の詳細は、MIYOSHI公式サイトの製品情報ページをご参照ください。(外部ページへ遷移します。)
※本記事は特定の製品を推奨するものではなく、あくまで実験条件を明示するための参考情報です。

実験結果

オレフィンシートとプリント合板(強化紙系)の耐久性比較実験結果。
オレフィンシート(左)とプリント合板(右)の耐久性比較結果。
同条件で6種類の試験を行い、清掃・除菌など日常的な使用環境による違いを可視化しました。
耐久性比較結果はクリックすると拡大していただけます。

結果として、オレフィンシートがすべての試験項目で優れた耐久性を示しました。

オレフィンシートの結果

すべての試験項目においてほぼ変化なし
水や洗剤、アルコール除菌スプレー、重曹スプレーのいずれに対しても膨れや白化は見られず、
ツヤ・手触り・色味が安定していました。
また、油性マジックやクレパスの落書きもエタノール拭き取りでほぼ完全に除去可能
清掃後も美観が保たれ、まるで新品のような仕上がりを維持しました。

プリント合板(強化紙系)の結果

プリント合板(強化紙系)の実験結果抜粋
プリント合板(強化紙系)の実験結果抜粋。 住居用洗剤やアルコール除菌スプレーを使用した部分では、表面に凹凸や膨らみが見られ、素材の弱点が明確に表れています。

一般的にプリント合板(強化紙系)は、水分やアルコール除菌スプレーなどに弱く、白化や膨れが起こりやすいとされています。
しかし今回の試料では、油性マジックやクレパス、水分に対しては大きな変化は見られませんでした。
一方で、住居用洗剤やアルコール除菌スプレーを使用した部分では明確な凹凸や膨らみが確認されました。

考察と業界的な見解

実験結果に対する考察

今回使用したプリント合板(強化紙系)の試料は、表面のコーティングが比較的しっかりしており、
一般的な製品に比べて水分やアルコール除菌スプレーに対して一定の耐性を示しました。
手触りにもワックスのような滑らかさがあり、このコーティング層が短時間の接触では素材を保護していたと考えられます。

ただし、すべてのプリント合板がこのような性能を持つわけではありません。
表面処理の厚みや樹脂の種類によって耐久性には差があり、
総合的にはオレフィンシートのほうが湿気や薬品への耐性が安定しているといえます。

業界的な素材評価

プリント合板(強化紙系)は紙を基材としているため、構造的に湿気や薬品に弱い傾向があります。
長期間の使用では白化・膨潤・艶落ちが起こりやすく、経年劣化も避けにくい素材です。
今回の実験でも、住居用洗剤やアルコール除菌スプレーを使用した箇所では
表面にわずかな凹凸や膨らみが確認されました。

このことから、水まわりや除菌頻度の高い空間ではオレフィンシートのほうが適しているといえます。

性能比較まとめ(素材別の違い)

※今回使用したプリント合板の試料では除去可能でしたが、一般的には染み込みやすく跡が残ることがあります。

比較項目オレフィンシートプリント合板(強化紙系)
落書き除去性(油性マジック)除去可能除去可能(※)※今回使用したプリント合板の試料では除去可能でしたが、一般的には染み込みやすく跡が残ることがあります。
落書き除去性(クレパス)除去可能除去可能(※)
耐水性(水分)水を弾き、変化なし変化なし(※)
耐重曹性(弱アルカリ)変化なし変化なし(※)
耐洗剤性(中性・住居用洗剤)変化なし広範囲に凹凸・艶落ちあり
耐アルコール性変化なし凹凸・艶落ちあり
オレフィンシートとプリント合板(強化紙系)の清掃・耐久性比較結果

よくある質問(FAQ)

Q. オレフィンシートはアルコール除菌スプレーで拭いても大丈夫?
A. はい。白化や膨れの変化はほとんどありません。
安心して日常的な除菌掃除に使えます。

Q. プリント合板のドアをアルコール除菌スプレーで拭くのは?
A. 直接スプレーすると今回行った実験のように膨れの原因になることに加え、一般的に白化の原因になるといわれていますのでおすすめしません。

Q. 子どもの落書きは落とせますか?
A. オレフィンシートなら油性マジックもクレパスもほぼ完全に除去可能です。
プリント合板は、素材の特性上、色が染み込みやすく跡が残ることがあります。

まとめ

オレフィンシートの総評

  • オレフィンシート:油性マジック・クレパス・水・重曹・洗剤・アルコール除菌スプレーすべてに強く、美しさを長期間キープ。
     お手入れしながら長く使える、現代住宅に最適な素材。

プリント合板の総評

  • プリント合板(強化紙系):コストは安いが、水分や薬品に弱く、
     湿気の少ない場所での使用が望ましい。

オレフィンシートが選ばれる理由

オレフィンシートは樹脂系で仕上げており、プリント合板は強化紙という紙で仕上げているため、今回の短時間実験においても違いは明らかでした。 

除菌や掃除が日常化した今、
「美観を保ちながら手間を減らせる素材」=オレフィンシートは、

これからの住宅ドア・建具選びにおける新しいスタンダードといえるでしょう。

注意事項(免責事項)

この結果は当社の試験条件下で得られた一例です。
使用環境や洗剤の種類、放置時間によって結果は異なる場合があります。
お手入れの際は、必ず目立たない場所で試し拭きを行い、変化がないことを確認してからご使用ください。

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