和室リフォームをご検討中のお客様から、よくいただくご相談があります。
「今ついている引き戸が気に入っていて…
できれば同じようなものに交換したいのですが、できますか?」
一見シンプルなご相談ですが、実際には
- 同じものが作れるのか
- サイズはどう考えればいいのか
- どんな商品を選べばいいのか
といった判断ポイントが多く含まれています。
今回は実際の事例をもとに、流れに沿って分かりやすくご紹介します。
目次
この記事を書いている人
和室リフォーム本舗の太田明子です。建具業界に15年以上携わり、現在はWEBやブログを担当しています。紙好きで襖紙の知識には自信あり。 当社は創業昭和21年(1946年)。自社工場からメーカー直販で、全国へ建具をお届けしています。
「同じ引き戸を再現したい」業者が廃業した場合の対処法

今回のお客様は、賃貸物件を運営されているオーナー様でした。
以前、原状回復の際に入っていた業者さんが
和室とリビングの間の引き戸を交換されており、
その仕上がりをとても気に入っていたそうです。
ただ、その業者さんがすでに廃業しており、
- 同じものを作ってもらいたいが依頼先がない
- 他の業者に相談しても「難しい」と言われる
という状況に。
「似たものでもいいので再現できないか」と探され、
当店へご相談いただきました。
このように、
👉 気に入っている建具があるが、同じものを頼めない
というケースは、実は珍しくありません。
既存の引き戸は再現できる?写真確認で分かる注意点
まずはお写真を拝見いたしました。
お電話でのヒアリング段階では、建具の角に木の縁がある仕様から、当初は「襖ではないか」と考えておりました。
しかし詳しくお伺いすると、一般的な襖が厚み約20mm前後であるのに対し、今回の建具は約30mmほどある可能性があり、「襖とは異なる仕様」の可能性が見えてきました。

このようなケースでは、当店の標準仕様とは異なる可能性があるため、慎重な判断が必要になります。
ここで大切なのは、
「同じものが作れる」と安易に断言しないことです。
リフォームの現場では、
・すでに廃盤になっている建具
・当時の特注仕様
・施工業者独自の納まり
といったケースも多く、完全に同じものを再現するのが難しいことは珍しくありません。
その後、実際のお写真を確認したところ、今回の建具は「襖ではない」ことが判明しました。
そのため今回は、
「まったく同じものではない可能性はありますが、近い仕様での製作は可能です」とご案内しました。
設置場所から考える|失敗しない引き戸の選び方
最初にご提案したのは、
片面ふすま紙・片面オレフィンの「リフォーム戸ふすま」。ただし、こちらは窓付きデザインではないため、用途との相性を確認させていただきました。
その後のヒアリングで、
👉 設置場所が「和室と洋室の間」
と判明。
そこで最終的にご提案したのが、
両面オレフィン仕上げの「ふすまリフォームドア」
です。
和室にドア風デザインは合う?違和感が出ない理由
この段階でよくいただくのが、
「和室側から見たときに浮きませんか?」
というご質問です。
実際には、木目調のオレフィンであれば違和感は出にくく、
多くの施工実績でも問題なくなじんでいます。
最近では、
- 和室を少し洋風にしたい
- メンテナンス性を上げたい
という理由で、あえてドア仕様を選ばれる方も増えています。
サイズで失敗しないために|引き戸は「建具」ではなく開口で考える
次に重要だったのがサイズです。
お客様からいただいた寸法は比較的大きく、
特に幅について詳細確認を行いました。
引き戸の場合、
基準になるのは建具サイズではなく「設置開口」
です。
具体的には、
- 上の溝の下〜下レールの上まで(溝の深さは含めない)
この寸法に対して、
建具は上下の差し込み分として約10mm大きく製作します。
この考え方を知らないと、
「同じサイズで作ったのに入らない」
というトラブルにつながります。
幅1000mm以上の引き戸は要注意|オーダー建具の価格が上がる理由
今回の開口幅は 1043mm。
このサイズ帯になると、
- ~920mm:基本価格
- 921~1000mm:約1.5倍
- 1001mm以上:約2倍
となるため、
2枚建てのままだと、1枚ごとに2倍の価格になります。
今回の解決策|2枚引き戸を4枚建てに変更した理由
そこでご提案したのが、
👉 2枚建てから4枚建てへの変更
です。
メリット①|4枚にしても価格が変わらない理由
幅を4分割することで、
1枚あたりのサイズが基準内に収まります。
結果として、
合計金額は変わらないという形になります。
メリット②|軽くて開け閉めしやすくなる仕組み
もう一つ大きなポイントが使いやすさです。
建物は経年によって、
- わずかなゆがみ
- レールのズレ
が発生します。
幅の広い建具はその影響を受けやすく、
動きが重くなることがあります。
4枚に分けることで、
- 1枚あたりが軽くなる
- ゆがみの影響を受けにくい
- 開閉がスムーズになる
というメリットがあります。
最終判断|4枚建てを選ばれた理由
最終的にお客様には、
4枚建て仕様をご採用いただきました
・価格がほぼ変わらない
・開け閉めが軽くなる
・長く使ってもストレスが出にくい
このバランスが決め手となりました。
まとめ|引き戸は「再現」より「最適化」で考える
今回の事例から分かるポイントは以下の通りです。
- 同じ建具がなくても近いものは再現できる
- 廃業していても代替提案は可能
- サイズは開口寸法で考える必要がある
- 幅が広い場合は分割が有効
- 見た目だけでなく使いやすさも重要
和室リフォームでは、
「同じものを探す」より
「今の条件に合った最適な形を選ぶ」という考え方がとても重要です。
結果的に、その方がコスト面でも使い勝手でも満足度が高くなるケースが多いです。
失敗しないためのポイント|相談時に準備しておくべき情報
もし、
- 今の建具に近いものを探したい
- サイズが合うか不安
- 費用感を知りたい
という場合は、
写真と寸法を一緒にお送りください
より具体的で現実的なご提案が可能になります。

