引き戸は空間を有効活用できる便利な建具ですが、思わぬ事故や開閉トラブルも起こりやすいもの。特に小さなお子さまやペットがいる家庭では、「勝手に開いてしまう」「指を挟む」「勢いよく閉まって危険」などのリスクが潜んでいます。
そんな引き戸の安全性を高めるのが「引き戸ストッパー」。この記事では、使用目的や素材に合わせて最適なストッパーを選べるよう、厳選した3タイプをご紹介します。

和室リフォーム本舗、太田と申します。
建具業界に入って15年以上。
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紙好きが高じて、襖紙の見分けにも自信あり。
実はフグ調理師免許も持ってます🐡
1. なぜ引き戸にストッパーが必要?

引き戸には以下のようなトラブルが起こりやすい特徴があります:
- 建て付けの悪さで自然に開いてしまう
- 開け閉めの反動でバタンと戻る
- 小さな子どもやペットが勝手に開けてしまう
これらを防ぐために、適切なストッパーを選ぶことが大切です。
2. 引き戸ストッパーの主な種類と選び方
引き戸用のストッパーにはいくつかのタイプがあり、設置場所や引き戸の材質、住まいの形態(持ち家・賃貸)によって選ぶべき製品が異なります。ここでは、代表的な3タイプの特徴と、それぞれの選び方をご紹介します。
▍① 差し込み式ストッパー(くさび型)

引き戸に差し込んで使うくさび型ストッパーの使用イメージ
引き戸の下に差し込むだけの簡易タイプ。工具不要で、取り外し跡も残らず、賃貸住宅でも使いやすいのが特長です。
透明なタイプを選べば目立たず、インテリアにもなじみます。
ただし、ストッパーを差し込んだ側からしか開けられないため、通行方向が一方通行になります。
こんな方にお勧めです。
- 賃貸にお住まいの方
- 小さなお子様やペットのいる家庭
▍② 金属製ネジ固定ストッパー

鴨居内部にビスで取り付けるタイプ。内部のバネで引き戸の反動や自然な開きを抑える効果があり、指はさみ防止にも効果的です。
代表的な商品に「MARUKI HARDWARE CORPORATION(旧丸喜金属本社) S-208」があり、安全性を重視した家庭向けに人気があります。
ただし、設置には鴨居に穴を開ける必要があるため、賃貸の場合は注意が必要です。
こんな方にお勧めです。
- 指詰めを防止したい方
- 引き戸の動きが不安定な家庭
▍③ 樹脂製ネジ固定ストッパー(アルミ建具対応)

アルミ製の引き戸枠にフィットする専用タイプ。戸のガタつきやズレを防止し、しっかり固定できます。
両面テープや差し込み式で設置できるため、DIY初心者でも扱いやすい仕様です。
ネジで固定する場合は、やはり穴あけが必要となるため、賃貸住宅では設置方法に注意しましょう。
こんな方にお勧めです。
- アルミ製の引き戸を使っている方
- 精度や見た目にもこだわりたい方
引き戸ストッパー3タイプ比較
タイプ | 主な特徴 | おすすめ対象 |
差し込み式ストッパー(くさび型) | 工具不要・跡が残らない・目立たない透明タイプもあり | 賃貸住宅にお住まいの方 |
金属製ネジ固定ストッパー | バネで反動をやさしく抑制・戸の動きを穏やかに制御 | 木製引き戸の開け閉めの反動でバタンと戻る |
樹脂製ネジ固定ストッパー | アルミ枠にしっかりフィット・ズレやガタつきを防止 | アルミ製引き戸の開け閉めの反動でバタンと戻る |
3. 引き戸を「ゆっくり閉める」ための後付アイテムも
ストッパーとは別に、引き戸の閉まりをゆっくりにする「ソフトクローズ機能」もあります。これは、「下レール引き戸」タイプに後付けできるもので、開閉の終点でスーッと吸い込まれるように静かに閉まる機能です。
「下レール引き戸」や「上吊り引き戸」などの違いについてはこちらで詳しく解説しています。
関連記事: 間仕切りに引き戸を活用するメリット|おしゃれに見せるコツも紹介
キリやプラスドライバーがあれば取り付け可能で、特別な道具を用意する必要はありません。どちらも100円ショップで手に入る身近な道具なので、工具に不慣れな方でも安心です。
扱いやすく、力もほとんど要らないため、女性や初心者でもスムーズに取り付けられます。さらに、開閉音を軽減できるため、夜間の生活音やご高齢の家族への配慮にもぴったりな静音対策アイテムです。
出典元:引戸用ソフトクローズ DS004【和気産業】和気産業カタログ※外部リンクへ遷移します。
4. よくある質問(FAQ)
Q1. 両面テープ式のストッパーは引き戸にも使えますか?
A. 基本的には「開き戸」向けに設計されたものが多く、引き戸では横方向の力が加わるため、粘着力が不足しやすく外れてしまうことがあります。引き戸には、差し込み式やネジ固定式など、構造に合った専用タイプの使用をおすすめします。
Q2. 子どもがストッパーを外してしまわないか心配です。
A. 差し込み式のストッパーでも、角度や厚みに工夫されたタイプを選べば、簡単には外れません。また、透明で目立ちにくいものを使うことで、子どもの注意を引きにくくすることも有効です。また、お子様の手の届きにくい高い位置に設置していただくと安心です。
Q3. ストッパーはどの引き戸にも使えますか?
A. 素材やレール構造によって適合が異なります。木製かアルミ製か、レールの有無、戸の厚みなどを事前に確認してから選ぶことが大切です。アルミ製の引き戸の場合、金属製のストッパーを使うと、音鳴りの原因になりかねませんので、樹脂製のストッパーをお勧めします。
Q4. 賃貸住宅でもストッパーを取り付けられますか?
A. 差し込み式タイプなら、原状回復が簡単なので賃貸でも使用できます。ネジ固定型を使う場合は鴨居や枠に穴を開けるため、穴の補修が必要であることもあります。管理者に確認のうえ取り付けていただく事をお勧めします。
Q5. ストッパーと一緒に使うと便利なアイテムはありますか?
A. 引き戸の開閉音が気になる場合は、「ソフトクローズ機構」の後付けがおすすめです。戸車付きの引き戸であれば、工具不要で取り付けられる製品も多く、夜間や高齢者のいるご家庭でも安心です。
5. まとめ
引き戸ストッパーは、「止める」だけでなく、「安全に使う」「事故を防ぐ」ための必須アイテムです。用途や住環境に応じて適切なタイプを選べば、家族全員が快適に過ごせます。
- 賃貸や仮設対策には → 差し込み式ストッパー
- 指はさみ・自然開放防止には → 金属製ネジ固定型
- アルミ建具などの指はさみ・自然開放防止には→ V型ストッパー
- 動作音を抑えて静かに閉めたい → ソフトクローズ機能(後付け)
あなたの引き戸にぴったりの対策アイテムを選んで、安全で心地よい暮らしを実現しましょう。