ペットと暮らしていると「快適さ」と「安心感」を両立させる工夫が欠かせません。特に猫は高い所に登ったり、細い隙間をすり抜けたり、時には大切な家具や飾り物に手を伸ばしてしまうこともあります。飼い主様にとっては、可愛らしい仕草でありながらも、時にはヒヤッとする瞬間がありますよね。
今回は、そんな「猫のいたずら対策」と「和室の質感を大切にしたい」という思いから、木製障子をペット柵としてご注文いただいたお客様の施工事例をご紹介します。

和室リフォーム本舗の太田です。建具業界に15年以上携わり、現在はWEBやブログを担当しています。紙好きで襖紙の知識には自信あり。 当社は創業昭和21年(1946年)。自社工場からメーカー直販で、全国へ建具をお届けしています。
目次
ご依頼の背景とコンセプト
今回の施工全体のコンセプトは、「ペットの安全」と「和室の質感」を両立させること。単なる柵ではなく、暮らしに馴染む建具として木製障子を採用しました。
- 守る×見せる:いたずら防止とインテリア性を両立
- 採光・通風:障子越しのやわらかな光で圧迫感を軽減
- サイズオーダー:枠のゆがみや設置環境に合わせてぴったり制作
- 竪繁障子(たてしげしょうじ):横桟がなく登りにくい格子構成、ピッチ調整にも対応
- 既存建具との調和:ふすま等と組み合わせても統一感ある仕上がり
以降の章では、このコンセプトをもとにした具体的な使用例や仕様の工夫をご紹介します。
採寸から製造までの流れ
今回の障子は、既製サイズではなく お客様ご自身による採寸 に基づいて製作しました。
和室リフォーム本舗では、ミリ単位のオーダーが可能ですが、その分だけ正確な採寸が大切になります。採寸ポイントは以下の通りです。
- 設置場所の高さを測る時は、上下の溝の深さを含めない
- ふすま本体を測る時は、ふすまの一番高いところから一番低いところまで測る(※戸車付きの場合は戸車の下で測る)
出典元:ふすま(襖)・引き戸や・障子の測り方の動画※YouTubeに遷移します。
お客様からいただいたサイズをもとに、弊社工場で木材を加工し、桟(組子(くみこ))・框を組み立てていきます。
オーダーメイドのため、製造開始まで通常よりお時間をいただきますが、その分「ぴったりサイズ」の仕上がりをお届けできます。
納期や配送などよくあるお問合せは以下ページよりご確認ください。
関連記事: よくある質問
使用例①:仏間・出窓での飼い猫対策
お客様からは、次のようなお声をいただきました。
今回のご相談内容は「飼い猫対策」と「和室の質感を保つこと」。
① 仏間では採光を確保しつつ、祭壇を猫のいたずらから守りたい
② 出窓の戸棚に観葉植物を置くため、猫対策をしたい
――このようなお悩みに対して、しっくりくる方法を探しておられました。
仏間の祭壇を守りながら採光を確保し、また出窓に置いた観葉植物を猫のいたずらから守るために、障子を活用された事例です。和室の雰囲気を損なわず、空間の安全性と落ち着きを両立できました。
さらに障子を通すことで、部屋全体がやわらかな光に包まれ、見た目の美しさも際立ちます。単なる柵ではなく「空間を演出する建具」としての役割を果たしています。


床の間に新たに敷居と鴨居を設け、木製障子を2枚設置。さらに、既存のふすま4枚のうち2枚を障子に変更しました。
🌸 桟の幅 | 🌸 桟と桟の間の幅 |
---|---|
約8mm | 約66mm |
使用例②:生活空間の仕切り
これまでに伺った活用例の一部をご紹介します。
- 用事をしているとき、猫に部屋には入ってきてもらいたいけれど、掃除の邪魔はされたくない
- 急な来客時に、安心して猫を待機させておきたい
- 顔が見えるので猫も飼い主も安心できる
障子越しにやわらかな光が差し込むことで、閉じ込められたような圧迫感がなく、猫はリラックスして過ごせます。飼い主も落ち着いて来客対応ができる――という声を多くいただいています。
また、実際に「猫部屋」として障子を活用されているケースも複数あり、ペットの安心できる居場所づくりに役立っていると感じています。


和室とリビングの間仕切り(引き戸)1枚を障子に変更しました。
使用例③:猫部屋としての活用
また、専用の「猫部屋」として障子を設置されたお客様もいらっしゃいます。
いただいたかわいい猫のお写真からも、障子越しに飼い主を見つめる安心した表情が伝わってきます。障子は圧迫感を与えず、光と風を通すため、ペットにとっても快適な空間をつくることができます。
特に日当たりの良い部屋では、猫が障子越しに日向ぼっこを楽しむ姿も見られ、飼い主にとっても癒しの時間となっています。


3枚引き込みふすまの内、1枚を木製障子に変更しました。
🌸 桟の幅 | 🌸 桟と桟の間の幅 |
---|---|
約20mm | 約46.9mm |
使用例④:猫部屋としての活用 その2


リビングのコーナーにある襖の内1枚を障子に変更
🌸 桟の幅 | 🌸 桟と桟の間の幅 |
---|---|
約20mm | 約54mm |
木製障子をペット柵に使うメリット
今回の事例から見えてきた、木製障子をペット柵として活用するメリットを整理します。
- 和室の雰囲気を損なわない
金属製や樹脂製のペットゲートと違い、和室空間に自然に溶け込みます。 - サイズオーダーで隙間なく設置可能
DIY感覚で測定したサイズに合わせて製造するため、既製品にはないフィット感。 - 採光と通風を両立
障子紙を通じて光を取り込みながら、空間を閉ざしすぎない。 - インテリア性の高さ
単なるペット柵ではなく、空間を引き立てる和の建具として活用できます。
実際にご利用いただいたお客様からも猫のいたずら対策に役立った」「和室に馴染んで見た目もきれい」といった声を多数いただいています。
既製品ペットゲートとの違い
市販のペットゲートは突っ張り棒のように簡易的に設置できる反面、次のような課題もあります。
- 機能重視のため、どうしても生活感が出やすい
- 金属や樹脂製で、インテリアに冷たい印象を与えがち
- 特に和室空間では、木や紙の素材感と対照的になり、雰囲気に馴染みにくいことがある
今回のオーダーメイド障子は、そうした既製品のデメリットを解消し、「守る」だけでなく「魅せる」建具 として機能しています。和室の質感を大切にしながら、ペットと安心して暮らせる空間を演出できます。
お客様からのメッセージ
実際にご利用いただいたお客様からも猫のいたずら対策に役立った」「和室に馴染んで見た目もきれい」といった声を多数いただいています。
さらに多数の写真付きレビューも公開されていますので、ぜひご参考ください。
👉 楽天市場でのレビューはこちら
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オーダーについてのご案内
当店の木製障子は、基本仕様として「桟の幅」や「使用する桟の本数」はあらかじめ決めさせていただいております。ただし、以下のようなご要望にも対応可能です。
当店の木製障子は、基本仕様として「桟の幅」や「桟の本数」があらかじめ決まっております。
- 桟の幅 … 標準は約8mm
- 縦の桟の本数 … 標準仕様で決まっており、こちらの記事でご紹介しているものは10本です
- 横の桟の本数 … 障子の仕上げ高さに応じて変動します(高さが高いほど桟が増えます)
- 桟を増やしたい場合 … 別途お見積り
- 桟を太くしたい場合 … 別途お見積り
まずは標準仕様でご注文いただき、サイズや桟の間隔など具体的なご希望をお伺いしたうえでお打ち合わせを行います。その内容をもとに改めてお見積りをご提示し、ご納得いただいた場合のみ製造を開始いたします。
もちろん、見積り後に「やっぱりやめておこう」と思われた場合は、キャンセルしていただいても大丈夫です。
仕様や価格を十分にご理解いただいたうえで製作に進みますので、どうぞ安心してご依頼ください。
製造メーカー直販だからこそ、細かなご要望にも柔軟に対応可能です。大切なご家族(ペット)と末永く快適に過ごせるよう、一枚一枚ていねいにおつくりいたします。
よくある質問
Q. ペット柵に向いている障子の種類はどれですか?
A.猫や犬用のペット柵としては、竪繁障子(たてしげしょうじ)がおすすめです。横桟がないためペットが登りにくく、格子の間隔を調整することで小型ペットのすり抜けも防げます。さらに、和室の雰囲気にも自然に馴染み、見た目もすっきりと仕上がります。
木製障子のデザインについて
関連記事: 木製障子のデザイン
Q.隙間からすり抜けませんか?
A. 標準では桟の本数が決まっているため、ピッチの間隔もそれに応じて変わります。小型猫や子猫向けには、組子(桟)を増やしてピッチを狭める加工も可能です。なお、この場合は特注対応となり、別途費用がかかりますので、お打ち合わせの際にその旨お知らせください。
Q.施錠(ロック)できますか?
A. 標準仕様では鍵は付いておりません。必要な場合は、簡易ストッパーやフック金具などをお客様ご自身で取り付けていただく方法をおすすめしています。設置場所や開閉頻度に合わせて選定すると安心です。
Q.既存のふすまレールで使える?
A. 基本的には既存の敷居に対応しておりますが、ご要望に応じてレール仕様にも対応可能です。 その場合は障子本体に下戸車加工などの特別な加工が必要となり、別途お見積りとなります。現状のお写真や寸法をお知らせいただければ、最適なご提案を差し上げます。
Q.どの素材がペット向き?
A.スプルース(無垢)推奨。
Q.自分で取り付けできる?
A. はい。戸のみの交換であれば、設置するだけですので比較的簡単に取り付けできます。
ただし、レールや特に敷居の新設は、経験のある方やプロによる施工をおすすめしております。
当店では室内ドアに関する電話やメールでのアドバイスをご提供しておりますが、訪問による取付作業は行っておりません。敷居の取付がご不安な場合は、工務店様や専門業者へご相談いただくと安心です。
まとめ
今回の施工事例は、和室を大切にしながらペットと安心して暮らすための工夫として、木製障子をペット柵に活用されたケースでした。
- 猫のいたずらを防ぎたい
- 採光と和室らしい雰囲気を両立
- サイズぴったりのオーダーメイド
オーダー障子は、単なる「柵」以上の存在として、暮らしを豊かにしてくれます。
和室リフォーム本舗では、今回のような「ペットと暮らすための建具」も含め、お客様の暮らしに合わせた製作を承っています。
「既製品では合わない」「和室の雰囲気を大切にしたい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
木製障子には「スプルースタイプ」と「ラッピングタイプ」がございます。
ペット柵としては「スプルースタイプ」を推奨しており、当店ではスプルースで対応しております。
